その日、会社は半ドンで昼時過ぎには退勤となった。
帰りの途中に雨が降り出した。
しかも、土砂降りと言っていい程の勢いだ。
俺はマンションの駐車場に車を置き、一目散に建物内へと走った。
僅か数メートルだったが、かなり濡れてしまったようだ。
ぼやきながらスーツの水滴を払い、部屋に向かって廊下を歩いて行く。
すると、隣りの部屋の前に、子供がうずくまっているのを見つけた。
その部屋に住む、中学生の男の子だった。
男の子は一瞬こちらを見たが、すぐに俯いて視線を戻した。
少し不思議に思ったが、よく見ると床がびしょ濡れになっている。
家の中に入れないのだろうか?
とりあえず、近付いて話を掛ける事にした。
『どうしたんだい?入れないのかな?』
男の子は頷いた。
母親とは時折話す程度だが、勤めに出ているのは知っている。
夜の8時や9時に帰って来る事もあると聞いている。
ならば、鍵を持っているハズだ。
失くしたのだろうか…
『鍵は?』
疑問だったので、訊いてみた。
『いつもはポストに入ってるんだけど、母さん入れ忘れたみたいで。』
今にも泣き出しそうに答えた。
たぶん朝の天気から、傘を持っていかなかったのだろう。
そこへ来て、母親の鍵の入れ忘れ。
二重に不運が重なったという事か。
しかし秋とはいえ、雨が降ったからか、気温もかなり低い。
このままでは、風邪どころか肺炎になる恐れだってある。
早急に母親に連絡を取る必要があり、大人として放置する訳にはいかなかった。
『とりあえずな、お兄さん家に来ないか?寒いし風邪曳くぞ。』
知らない人では無いから安心したのか、コクリと頷いて立ち上がった。
部屋に入ったはいいが、玄関先で立ちすくんでいる。
全身びしょ濡れだから、上がる事に躊躇しているみたいだ。
『気にしないで上がりな。あっ、靴下だけは脱いでくれ。』
俺は負担にならぬように、笑って言う事を心掛けた。
そしてバスタオルを手渡すと『お邪魔します』と言って靴下を脱ぎ始めた。
しかし、びしょ濡れの服では、気持ち悪いに違いない。
エアコンで暖房を入れたが、それだけで乾く訳では無かった。
どうしたものかと考えていたが、やはり風呂に入る事を勧めた。
『濡れて気持ち悪いだろう、風呂沸かすから待ってな。』
『下着と服は貸してあげるよ。大きいかもしれないけど、数時間だから我慢してな。』
俺はミルクたっぷりのカフェオレを作り、男の子に差し出す。
そして浴室に向かい、手早く湯を張った。
『お風呂は多分キミの所と同じだから、使い方は判るよね?』
『とりあえず入っておいで、着替えは用意しておくよ。』
男の子は先程と同じ様にコクリと頷き、浴室へと歩いて行った。
一方俺は、着替えを準備しなければと、タンスを開いた。
新品のトランクスとTシャツ、それにスウェットの上下を用意した。
脱衣所のドアを開け、浴室内の男の子に声を掛けた。
『ここに下着と服を置いておくからね。』
『すみません、ありがとうございます。』
中学生なのに、きちんとお礼が言える子だ。
感心して立ち去ろうとした時、ふと目に入った物があった。
それは、男の子が脱いだ衣服の中に混じった、白いブリーフだった。
その瞬間、淫らな感覚が全身を駆け巡った。
確かに俺はゲイだが、ショタコンでは無いつもりだ。
いや、どちらかと言えば年上好きで、若い子は苦手な部類に入る。
それが、まだ中学生の子にこんな淫らな気持ちを抱くとは。
いけないと思いつつも、恐る恐るブリーフに手を伸ばした。
顔に持ってくると、小便の臭いが鼻を衝いた。
ウン筋が更に興奮を増長させる。
しかしこれ以上洗面所にいたら、不審を抱かせてしまう。
ブリーフを元に戻し、後ろ髪を引かれる思いで、洗面所から立ち去った。
男の子は風呂から上がり、スウェット姿でリビングに入って来た。
少し大きめだが、極端な違和感は無い。
そして小脇には、濡れた服を抱えていた。
あの中に、あのブリーフがあると思うと、また淫らな感覚が甦る。
俺はそれを振り払うかの様に、スクっと立ち上がった。
『袋をあげるから、濡れた服はそれに入れなよ。』
そう言って、スーパーの袋を差し出す。
男の子は礼を言って受け取ると、服を丁寧に袋に入れた。
そしてソファを勧めると、軽く会釈しながら、ちょこんと座った。
『何か冷たい物でも飲む?緑茶かお茶か牛乳しか無いけど。』
他にビールや酎ハイもあるが、まさか飲ませる訳にはいかない。
『すみません、じゃあ緑茶を下さい。』
恥ずかしそうに答えるその姿に、胸が締め付けられそうになった。
年端のいかぬ子供に、こんな感情を抱くとは。
緑茶をグラスに注ぎながら、高まる気持ちを抑えるのに必死だった。
常識から来る僅かな理性だけが、愚行に走る事を止めていた。
ソファのテーブルに、緑茶の入ったグラスをふたつ置いた。
男の子に勧める一方、俺は一気に飲み干す。
少し気分が落ち着き、会話の口火として、自己紹介をする事にした。
『とりあえず、名前を教えておくよ。×××って言うんだ。』
満面の笑みで言った。
『僕は、智久って言います。』
少しは緊張が解けたのか、初めて笑顔がこぼれた。
『智久くんかぁ、隣りだから名字は知ってたけどね。かっこいい名前じゃん。』
名前を誉められたのが嬉しかったのか、更に顔がほころんだ。
『確か、中学生だったよね?』
『はい、1年生です。』
『今日、学校はどうしたの?』
平日の昼間に、中学生が私服でいるのは疑問だった。
『今日は、創立記念日なんです。それで午前中は遊んでたんだけど。』
そういう事か、しかし創立記念日で休みなら、私立かもしれない。
公立で創立記念日に休みなんて、聞いた事無いからな。
もっとも全国を探せば、そういう自治体だってあるかもしれないが。
『ところで、お母さんの携帯や、職場の連絡先は判るかな?』
『携帯は出れないと思います。あと仕事先の電話は…』
まぁ勤務中であれば、携帯に出られない職種もあるだろう。
しかし、語尾のニュアンスが気に掛かった。
『勤務先の名前が判れば、調べて掛けてあげるよ。』
俺は諭す様に言った。
『番号は判るんですけど、余り電話は…』
困惑した様子で、俯いてしまった。
これには慌てた。
『ごめんごめん、悪い事言っちゃったかな。』
苛めるつもりは無いし、何より智久を困らせたく無い。
『もし良かったら、理由を話してくれないかな?』
精一杯、優しい口調で訊く。
『母さん看護婦なんです。急用以外では電話は駄目って言われてるから。』
充分に急用だと思うが、敢えて言わなかった。
母親を気遣う子供心を、無下に否定する事は無い。
いっそ、管理会社に連絡をしようかと考えた。
しかし受話器を取ろうとした時、背後から智久が言った。
『妹が5時頃には帰って来ます。それまでいたら駄目ですか?』
ああそうか、妹がいる事をすっかり忘れてた。
って言うか、駄目どころか、こちらからお願いしたいぐらいだ。
『全然構わないよ。』
俺は再び、満面の笑みで答えた。
それから1時間ぐらい、色々と話をした。
始めは俺が質問する感じで、主に学校の事だった。
次第に慣れて来ると、智久からも質問して来る様になった。
しかし、年齢の差は如何しがたいものがある。
それに加え、隣室というだけでは、話題的にも乏しい。
なるべく間が出来ない様に心掛けてはいたが、ついに来てしまった。
この間が、俺の理性を打ち砕いてしまったのかもしれない。
『あのさ智久くん、オチンチンに毛は生えてるの?』
俺は声を震わせながら訊いた。
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【ゲイ体験談】隣に住む男子中学生を家に招いて・・・はじめは下心はなかったんです本当なんです(後編)
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